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社会福祉法人すぎのこ会は、栃木県内で障害者福祉・老人福祉のサービスの提供を行っています。

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〒329-4306 栃木県栃木市岩舟町曲ヶ島806-1

福祉経営余話concept

平成から令和へ 〜新たな門出〜(平成31年4月)

 平成最後となる理事会を3月29日に開催し、平成31年度(令和元年度)事業計画及び当初予算を原案どおりご承認いただきました。併せて、愛晃の杜所長として佐々木敬之を任命した専決処分及び家庭の都合で退職することとなったけやきの家所長石塚康義の後任に、ひのきの杜次長の輕部愼吾を選任する件も議決されました。石塚氏には、すぎのこ学園時代から大変お世話になりましたが、退職後も、引き続き愛晃の杜の準職員としてお手伝い願えることになりました。
 さて、福祉は人なり、と言われますが、人材の確保が大きな社会問題となっています。勿論、福祉の分野に限らないわけですが、福祉の分野の人材確保は大変厳しさを増してきています。特に、虐待問題が大きく報じられている昨今、国を挙げて専門家の確保に積極的に取り組むことになり、その結果として、福祉人材の養成、確保がより深刻となることも心配されます。
 本会においても例年になく厳しい状況下にありましたが、多くの新たな職員を迎え、4月1日に辞令交付式を行いました。その折にも申し上げたところですが、我が国においては少子高齢化が一段と進む中にあって「我が事、丸ごと、地域共生社会」を創ることが大きな課題となっています。課題解決に当たっては、これまでの先人の実践を継承することは勿論のことですが、新しい福祉のあり方を学んできた新人職員に期待するところも大であります。「他人事、丸投げ、地域崩壊社会」とならないよう、職員が一丸となってトータルサポートシステムの構築に向けた取り組みを継続しなければならないと考えています。
 同時に、「心のバリアフリー」にも積極的に加担していきたいと考えています。昨年度、文科省が主催した「心のバリアフリーノート」作成検討会の構成員の一員として検討を重ね、この3月に報告書を取りまとめました。報告書は、小学校から高等学校に至るまでの、心のバリアフリーに関する考え方や参考資料を取りまとめたもので、今年度から使用が開始されることになっています。心のバリアフリーは教育的な側面からのアプローチが決め手である、という私の持論が日の目を見たと実感しているところです。
 元号が「平成」から「令和」に改元される記念すべき年度に当たり、すぎのこ会設立の想いを繋ぐため、なお一層努力する所存でおりますので、皆様のご理解とご支援、ご協力を賜りますよう、改めてお願いいたします。


感謝を込めて(平成31年2月)


 去る2月10日、日光地区事務長兼法令遵守部長であり、多機能型事業所「愛晃の杜」総合所長であった村松栄一氏が永眠いたしました。生前皆様からお寄せいただいた御厚意に対し、心からお礼申し上げます。
 平成13年、県北の障害者福祉施設の施設長候補に指名された彼が、法人経営の勉強をしたいということで、本会を訪れたのが出会いの始まりでした。膨大な資料と質問事項を抱えて定期的に訪れ、その回答と根拠法令、エビデンス等をその日のうちに取りまとめ、夜遅く家路に着きました。
 2年ほどたったある日、現在の職場に退職届を提出してきたので、本会の職員に採用してほしいとの話がありました。その真剣な眼差しから拒否することはできないことを知り、整備計画中であった「愛晃の杜」開設準備室長兼「ひのきの杜」次長として迎えることとしました。
 知的障害者授産施設と児童デイサービスセンター「愛晃の杜」更にグループホーム「天花」の初代施設長となった彼は、その後、蕎麦処「愛晃庵」、グループホーム「キスゲ、わたすげ、第二・第三わたすげ」を矢継ぎ早に整備し、昨年度は放課後等デイサービスセンター「のあの杜」をオープンさせました。私どもが日光地区トータルサポートシステムとして計画していた第4次アクションプラン21のほぼ全てを達成させたのです。
 そんな彼に、突然病魔が襲い掛かりました。腹部の痛みを訴え、入院治療を余儀なくされたのが昨年10月のことでした。本人は勿論のこと、誰もが検査入院程度に考えていたのですが、長期になるにしたがって不安が強くなってきました。暮れに見舞った際に、『外泊して身辺の整理をしておきたい。理事長に笑われてしまうから』、起き上がることも辛そうな状態での彼の冗談とも本気ともいえぬ言葉に、絶句しました。 
 そして、2月5日の電話の声が最後となりました。個室に移され、身動きすらできなくなってしまった彼が、担当医に外出を許可してくれるよう頼んでほしい、という内容でした。用件が入っていたので、11日に伺う旨を約束して電話を切ったのですが、その前日の息子さんからの訃報でした。
 『ウブゴエカラ灰トナリテマデ』に象徴される、問題を持つ方々に寄り添ったトータルサポートシステムの構築、そのことが私と彼とを繋ぐ太い絆であったと思っています。障害を持つ方々へ注がれた彼の深い愛に敬意を表するとともに、本会発展のために御尽力いただいたことに、心から感謝いたします。

                        合 掌


年頭に当たって〜初心を忘れずに〜(平成31年1月)


 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 昨年は、改正社会福祉法下において、社会福祉法人の本格的かつ具体的な見直しが開始された年でした。本会においては、特に内部管理体制の強化を図るべく、各種規程等の全面的見直しを行うとともに、12月に開催された理事会及び評議員会において、定款の変更を決議しました。収益20億円以上の法人に会計監査人を義務設置する件に関しては、厚労省から延期する旨の通知が発出されましたが、本会は15年以上も前から公認会計士による自主監査を受けてきたこと、また一昨年には厚労省の会計監査人設置モデル事業を受けたこと、そして何よりも透明性を向上させ、公益法人としての説明責任を果たす観点から、会計監査人の設置を定款に明記することとしたものです。
 そんな中にあって、本会創立の立役者のおひとりでもあった、酒井正子さんとお別れをしなければなりませんでした。酒井さんは、昭和47年に栃木市内に障害児通園施設あゆみ学園が開設され、私が最初に担当した子どものお母さんです。就学免除、就学猶予が当たり前の時代に、保護者の皆さんは、普通の子どものように家庭から通わせて教育を受けさせたい、という願いを実現すべく、長年にわたって通園施設の整備を訴え続けてきました。
 障害を持つゆえに就学できない我が子の顔を見ながら、就学した子ども達が新しいランドセルを背負って元気に通学するのを、不憫に思いながら涙して見送らざるを得なかった、と悲しそうに話されていました。そして、ようやく建設された通園施設。しかし時は流れ、子どもさんは退所年齢に近づいていました。通園施設は18歳までの子どもの施設です。当時PTA会長であった故岩本武郎さんの『岩崎を信じて、成人施設建設を成功させよう』という叫びに、保護者の多くが賛同し、誕生したのが「すぎのこ会」です。
 あれから40数年が過ぎ、子どもさんも60歳を超えました。「我が子は皆さんの税金でお世話になって幸せに暮らしているのだから、皆さんのためになるのならなんでもやる」と、95歳までシルバー人材センターの作業に従事していました。這いつくばるようにして除草作業をしていたその姿は、私の脳裏に焼き付いて今でも離れません。
 改めて、百歳で天寿を全うされた酒井さんのご冥福をお祈りするとともに、新しい年を迎え、『生きていて良かった』と言える社会を創るために、初心を忘れずに歩み続けなければならない、と自分に言い聞かせています。

語り継がれてきた教え(平成30年10月)


 本会の事務所は、関東の高野山とも称される岩船山高勝寺の裏参道の入口にあります。既にお話したとおり、事務所の北側には、裏参道とそれに沿って岩船山から流れ出る山水の堀がある、自然が豊かなところです。
 岩船山には、本会の慰霊碑を建立させていただいていますが、近年、利用者は勿論のこと保護者の皆様の高齢化が進み、慰霊碑への参拝ができない方のことも考え、ご住職の助言を得て、事務所に観音菩薩像を安置いたしました。『苦しい時の神仏頼み』と言われそうですが、私たちの幸せを仏に祈るとともに、仏となった皆様そして仏像が現世にいる私たちの幸せを願ってくれている、ということを信じて毎朝祈りをささげています。
 ところで、「岩崎さんは、ここのところ『やまと』『みずほの家』等と神がかり的な事業所名にしているが、何か心に秘めたものがあるのか」と、何人かのお役人等から聞かれました。問われて初めて気が付いたのですが、事業所のある地名を名称としただけで、他意は全くありません。そんなこともあって、観音菩薩像そして初代理事長の肖像をお護りするための『宝剣』が欲しい、と考えておりました。
 私事になりますが、日頃の運動不足を解消し、精神的な疲れを残さないための方策のひとつとして、時々マッサージを受けています。施術師は、栃木市の視覚障害者の会長も務められた識者ですが、『宝剣』のことを話題にしたことがありました。その折に、施術師から「実は、我が家には代々受け継いできた日本刀が2振りあるが、そういうことであれば1振り差し上げましょうか」という話になりました。常務の義父がその道に詳しいことから、アドバイスを受け、所定の手続き、専門家による研ぎ出し等を経て、『日本刀』を手に入れることができました。床の間に、本会の初代理事長の肖像、観音菩薩像そしてお護りする日本刀(ただし、本物は法令に従い別に保管し、鞘だけで中身は竹光です)を安置することができました。
 慰霊碑、観音菩薩像さらに祈り等と言うと信心深いと思われる方もあろうかと思いますが、私自身が熱心な仏教徒ではありませんし、そうかと言って、宗教を否定するとか、排斥するものでもありません。ただ、多くの年月を経ても、語り継がれてきた宗教の教えには、心を動かされるものがあります。『忘己利他』『慈悲の心』そして『一隅を照らす』等には、言葉で言い表すことができないほどの意味があるのではないか、福祉の根源、福祉の真髄を象徴する言葉ではないか、その心を語り継いでいきたいと思っています。

福祉のこころを語り継ぐ(平成30年8月)


 相模原事件が発生して2年になりますが、事件の検証と再発防止策検討チームが一昨年にとりまとめた報告書「再発防止策の提言」を巡っては様々な反論があり、精神保健福祉法の改正も見送られてきました。検討チームの一員であったこともあり、その後いろいろと考えさせられましたが、それとは別に、私個人として検討過程において強く訴えたことは「心のバリアフリー学習」の推進です。
 このような経過から、昨年度は文科省の心のバリアフリー学習推進会議のメンバーに選任され、検討を重ね、今年の2月に報告を取りまとめました。その中でも画期的であったのは、『報告書を取りまとめても実行に移されなければ意味がない、文科省が積極的に都道府県教育委員会あるいは省庁を超えて厚労省の福祉関係部局等に協力を要請する必要がある』というメンバーからの要請を受け、具体的に行動したことです。
報告を受け、文科省特別支援教育課長等3課長連名で都道府県教育委員会担当課長あてに「障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒の交流及び共同学習等の推進について」と題する依頼を発出しました。さらに、補正予算のモデル事業として「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」を公募し、私も技術審査専門員として評価作業に加わりました。
 ところで、昨年は古希を迎え、体力、知力の低下を実感した年でもありました。そんな中、母校である日本社会事業大学の同窓会会長に指名され、6月に就任しました。苦渋の決断をして引き受けたわけですが、私なりに、ある想いがあったからでもあります。
 原宿にあった母校のキャンパスに「アガペ像」が建てられていました。今でも清瀬の現キャンパスに移設、複製されていますが、その碑文「ウブゴエカラ灰トナリテマデ」が今までの私を支えてくれた言葉の一つです。それは、無償の愛とも言われますが、私は、サービスを必要とする人に寄り添い、生涯にわたって支えるシステム、トータルサポートシステムの構築をめざすことであると解釈しています。加えて、校歌の一節にある「忘我の愛と智の灯(トモシ)」が社会福祉の根底に流れる思想である、と信じています。そんな想いを伝えたい、伝え続けていく責務があると自分に言い聞かせています。


多くの皆様の善意に改めて感謝(平成30年7月)


 理事会、評議員会に提案する議案等の事務作業中に、東京にお住いの湯沢さんから封書が届きました。岩舟名産の葡萄を贈ったことへのお礼とともに、『毎年続けている寄附金の贈呈を今回限りで終わりにさせていただきたい』、と書かれてありました。湯沢さんは、本会に対し、10年にわたり毎年百万円という多額の寄附、愛の定期便を継続してこられました。
恥ずかしい限りですが、私を含め、湯沢さんにお目にかかった法人関係者はありません。何度か自宅を訪ねてお礼を申し上げたいと思っていましたが、湯沢さんをご紹介いただいた方から『ご迷惑になるからそのようなことはしないで欲しい』と言われていましたので、実現できませんでした。
 本会は、施設整備の基本計画として、アクションプランを策定していますが、前回ご報告のとおり、今年度から第5次プランの実現に向けた検討を開始したところです。このプラン実現に要する財源の一部は、多くの皆様からお寄せ頂いた貴重な寄附金を充当させていただいています。寄附金額等については、本会のホームページ等をご覧いただきたいと思いますが、多くの皆様の善意に、紙面をお借りし、改めて心からお礼申し上げます。
 ところで、本会は、今回の社会福祉法人制度改革が実行される10年以上も前から、財務規律の確立と透明性の向上を図るため、会計監査法人による自主監査を受けてきました。その結果もあり、本会の多くの会計責任者、出納職員の質の高さはかなりの水準にあるものと自負しているところです。このような実績が認められ、昨年度は厚生労働省の会計監査人設置モデル事業の指定を受け、会計監査人による正式な会計監査を受けました。
 例年になく厳しいところもあり、関係職員の労苦は勿論のことですが、私自身も少々疲れがたまりました。そんなある日、仕事を終え事務所の裏にある自宅に戻る折に、岩船山から続く水路付近を飛び交う無数のホタルを見つけました。数年前から観察できるようになったのですが、その光景はまさに幻想的で、柔らかな光に心が和みます。岩船山の慰霊碑に眠る多くの仲間や関係者からの、心を込めた温かなプレゼントではないか、と疲れも忘れます。
 そんなしみじみとした思いに浸りながら、多くの皆様の善意に改めて感謝するとともに、トータルサポートシステム構築のための第5次プランの早期実現に向け、心を新たにしています。

平成30年度事業について(平成30年4月)


 昨年度は改正社会福祉法に基づく評議員、役員の就任、さらには厚生労働省のモデル事業受託による会計監査人の設置等、新たな体制への移行が大きな課題でした。本会においては、県の業務指導監査においても指摘事項がなく、順調な移行ができたのではないかと考えています。また、施設整備面においても、栃木エリアにおける地域生活支援拠点施設「もくせいの里別館」並びに、日光エリアにおける放課後等デイサービス事業所「のあの杜」及びグループホーム「第三わたすげ」の新築工事をそれぞれ年度内に完了し、新たな事業を開始しました。
このような中、平成30年度事業計画及び予算等を審議する理事会を開催し、全議案を原案どおりご承認いただきました。施設整備計画としては、第4次アクションプラン21を1年前倒しさせ、新たな第5次アクションプラン21を策定しました。具体的には、国が進めようとしている地域共生社会を実現するため、包括的支援体制確立のための施設整備をはじめ、ふれあいの郷しずわ直売所を直営化するとともに、栃木市所有の隣接地を譲り受け農福連携の試行事業を展開する等多機能型事業所「すぎのこ」再編のための施設整備、さらには特別養護老人ホーム同様に最後の砦として位置付けている障害者支援施設「ひのきの杜」増築を主とする「ひのきの杜共生」「けやきの家」再編整備のための施設整備にも着手すること等を盛り込んでいます。
本会はこれまで、障害者は勿論のこと、高齢者、子ども等何らかの社会的援助を必要とする市民のセーフティネットともいうべき、地域包括支援(トータルサポート)システムの構築を目指し、体制整備を進めてきました。今年度からは、より広い視点に立って、国が進めようとしている「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現のため、官民協働、事業者間連携による包括的支援体制構築に向けた新たなトータルサポートシステム構築に向けてまい進する考えです。
 経済成長なくして財政再建なし、を旗印とする政権下にあっても、超高齢社会を目前にして、経済財政諮問会議、社会保障審議会等での社会保障制度見直しの議論が始まろうとしています。これらの動きも注視しながら、本年度も様々な問題を抱える市民に寄り添うサービスの提供に努めてまいる所存でおりますので、変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願いいたします。